【術後105日】小田和正ツアー@横浜アリーナ

というわけで、怒涛の1週間、第二部。最終日の11/8は小田和正のコンサート@横アリでした。
私にとっての永遠の憧れ、小田和正さんについてじっくり語りたいと思います(これも需要なさそうだなあ・・)

横アリの裏の駐車場にツアーバスが来ることを知ってるのは通なのです

今を遡ること約40年前、ぽっちゃり中学生だった私は運命の出会いをします。そう。オフコースです。小田さんの声が、曲が、ピアノが、私のやわなハートに・・・クリティカルヒット!
周囲の友人たちはジャニーズ全盛。マッチやトシちゃん、モックンに明菜に聖子ちゃん、洋楽好きはDURAN DURAN、サブカル好きはYMO・・の中で、私はひたすらSANYOのダブルデッキラジカセのイヤホンジャックにコードを差し込み、レンタルレコードからマクセルのテープにダビングしたオフコースを聞きまくっていたのです。夜、親の目を盗んでベッドの中でヘッドフォンで小田さんの声を聞きながらジーンと感涙にむせぶ、10代の私。缶ペンにポスカで Off courseと描き、下敷きに小田さんの写真を挟んで授業中に愛でまくり、駅のポスターを剥がして持ち帰る(私の人生史上、唯一の犯罪行為)毎日。目の前のこと(友人関係や試験、文化祭や生徒会の悩み)で精いっぱい。自分の世界は半径数メートルで、東京は外国並みにひたすら遠く、自分の可能性を何の疑いもなく信じることができて、自信満々だったけど、今思えば何もわかってなかったあの頃。

大学2年(1989年)の冬、英語の試験をぶっちぎって岐阜から上京してオフコースの解散コンサート@武道館(最終日)(←親戚のコネでチケットをもらった)に行ったことも懐かしい。入手した後に解散の発表があり、プラチナチケットと化したこのコンサートは武道館の近くにダフ屋が鈴なりで、「お姉ちゃん、チケットくれや!」とどなられてチケット強奪されそうになって走って逃げまわったのを覚えています。サプライズで風船(確か黄色だった)が配られて、アンコールで全員が一斉に膨らませて武道館が一面黄色の風船で埋まり、それを見た小田さんが感無量、といった表情をして観客もグッときちゃったりして。

オフコースが解散して、小田さんがソロで活動を始め、映画を作った時は(あの頃はバブルで桑田さんとか小田さんとか映画撮ったんですよねー)、ほんのり好きだった人と観に行きました(ストーリーは全然覚えてない)。大学3年生?くらい?だったと思うのですが、デートに張り切って(今思えば)変な恰好をしてしまったのが今でも恥ずかしい・・・。医師になってからは忙しくてあまり小田さんにどっぷり浸かってはいなかったですが、ライブにはなるべく行くようにしていました。「クリスマスの約束」は毎年応募してきっちり落選するのが年末の風物詩となっています。そして今年。乳がんの手術の時、麻酔導入時にかけてもらった小田さんのCD・・・そう、私の人生にはいつもそっと小田さんが寄り添っていたのです。私の夢は小田さんとゴルフをすること。横浜カントリー関係およびなんかつながりがある人、是非繋いでください・・・!

なので、今年も行かないわけにはいかない、小田さんももう75歳。行っとかないと、彼にもいつ何があるかわからないし・・・と春から打てる手は全部打ったのですが・・・チケットが取れない!全然取れないよ!ファンクラブも、一般発売も、何度チャンスを駆使しても、全然だめ。年々取れなくなってくる。

え?みんなそんなに小田和正さんのこと好きなの?ホントに?・・・今年大ヒットを飛ばしたわけでもなく、話題になったわけでもないのにどうして・・?ぱっと見は普通のおじいちゃんじゃん・・・とか言ってても仕方ない。とにかくまずい。このままでは行けないではないか・・・

そう、こんな時頼りになるのは・・お金!私には運はないけどお金がある!
本当はこういうことをしたくは無いのだが、背に腹は代えられないので、チケット流通アプリで検索。もともとは11000円程度のチケットですが、当然高額で売られています。どうして?どうしてこんなとこに売るようなダメ人間がチケットを手にできるのだろうか?こんなに行きたい私が手に入らないのに?おかしくない?・・と憤りを隠せませんが、奴らはチケットを持っていて、私は持っていない。
これは厳然たる事実です。

やむを得無い。ここはお金で解決するしかない、と30000円のチケットをぽちりと申し込んで交渉成立。便利っちゃ便利ですが、こうやってまた転売ヤー達がはびこっていくんですよね、そうですよね。わかってます。私はチカラを尽くし、そして悪に染まったのです。そういう正論は横に置いておいて、私は小田さんに今年も会いに行くのでーす!

仕事を早めに終わらせて、新横浜へ。ちょっとしたコネで車を停めさせていただいて(ありがとうございます!)一路横アリへ。ものすごい人数が流れていきます。入口は大混雑。スタッフの人が「立ち止まらないでくださーい!」「グッズ販売はこちらでーす!」と叫んでいます。私は3階席の通路のすぐ上。こういう会場は上の方程斜度が急なので、結構眺めがよろしい。開演前に流れている音楽はなぜかマドンナ。なぜなのか。サイリウムも配られて「絶対に、絶対に指示があるまで折るなよ」的な注意書き。横浜アリーナ、超満員。2万人近くがぎっしり。そして一人残らずマスク着用。日本は変わってしまったことをはっきり感じます。

これが3万円の眺めです。

私の席は右端。なので右側が階段でひろびろーでしたが、左側はちょっと小太りの眼鏡かけたおとなしそうなおばさん(人の事言えるのか?)がうつむいて静かに座っていました。しかし・・・!このおばさんが曲者だったのです。大人しそうだと思ったのは開演まで。まだエンジンもかかっていない1曲目、小田さんが遠くのステージに登場した途端、飛び上がらんばかりに立ち上がり、お尻フリフリ、手拍子は頭の上、ヘッドバンギング(軽いやつ)をしながら全身でリズムを取っています。私達は通路の上、つまりブロックとしては最前列。いくら斜度が強い3階席でも、どう考えても後ろの人は迷惑です。
3階席は比較的年齢層が高め。おばあちゃん系の人もおおく、このおばさん以外全員が座っているのです。私の右斜め後ろ(通路を挟んで)はそうとう高齢者の夫婦。杖も持っています。
そういう”静かに小田さんと対峙したいタイプ”が上の方には多いのです。その中で私の左のおばさんだけが地下アイドル推しのオタクのごとく、ぷりぷりお尻をくねらせながら踊り狂っているのです。そんなことあります?3万円の元をとるべく、じっくり小田さんを堪能したいのに!私の左側の視界にはおばちゃんのベージュのパンツを履いた尻のお右端がちらちらとリズムよく入ってくる・・。えーい、気が散るう!怒!
しかし、ゴルフもそうですが、楽しみ方は人それぞれ。彼女には彼女の楽しみ方があるのだからと、ぐっとこらえるしかないのです。
どうせ小田さんは遥かかなた。2万人の熱い視線と歓声を一身に受け止めて歌いながら走り回っています。3階席の私から見れば実測2㎝弱くらいなのだから、目を閉じて、小田さんの声に、その息遣いに集中して、私の脳を小田さんの声で洗浄するような気持ちでじっくり聞くのです。


もうね・・・「言葉にできない」なんて聞いちゃったら、ベッドの中で感涙にむせんでいた10代の私に戻っちゃう。40年後、あなたは東京にいて、自分のお金で(転売ヤーからだけど)チケット買って、小田さんと同じ空間にいるのだよ・・と教えてあげたい。気づくとほほを伝う涙。もうこの世に私と小田さんしかいない。きっと横アリ2万人がその時そう思っていたはず。
75歳とは思えない高音と豊かな声量。昔と比べれば、少しさぼって観衆に歌わせたりしてましたが、あの脳と心に突き刺さるような彼の声をじっくりと、脳髄液に溶かして、脳に染み込ませるように堪能するのでした。隣のおばさんは踊る合間に一瞬どすんと席に座って水筒の蓋をパカっと開けて水を飲んではまた立ち上がる、を繰り返し驚異の体力で最後まで走りぬいていきました。そんな落ち着かない席でしたが、3万円の価値は私にはあったと思っています。
アンコールが終わり、会場が明るくなった時には、じゃぶじゃぶ洗われた私の脳はすっかり初期化されました。そんなすがすがしい気持ちで空を見上げるとさっきまで満月だったのに、半分になったお月様。そうか、今日は皆既月食だったんだ・・。新横浜のラブホ街を夜風に吹かれて気持ちよく歩きながら、怒涛の1週間の締めにふさわしい、いい夜だったなーと余韻を楽しみながら帰りました。

ま、翌日はビジネスドSでお馴染みの日向トレーナーとの筋トレデートなんですけど。

11000円は定価です。シャレが効いてますね!

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